第31回 死刑廃止全国交流合宿 開催のお知らせ


【 Oceanとは】

Oceanは、2007年に被害者家族 加害者家族の支援を目的に設立した市民団体です。

日々報道される多くの事件。 ほんの数行で伝えられる事件の背景には、事件の日を境に大きな傷を負うことになった多くの人々がいます。 Oceanの設立者の原田正治も、弟を殺された日を境に人生が一変しました。

なぜ弟は殺されたのか、の問いを胸に加害者に面会に行った原田は、その時の想いを本にまとめ、各地で講演をしてきました。 その過程で出会った多くの人々〜被害者遺族、加害者、加害者家族、弁護士、研究者、報道関係者等々〜との出会いや対話の中から、日本の刑事司法に足りないのは、被害者側に寄り添った加害者との接点や対話の確保ではないか、と考えるようになりました。

事件のかたちはさまざまで、事件に巻き込まれた人たちの苦しみも多様で、一つの答え、一つの制度がすべての人に有効ではないかもしれないですが、それぞれの人たちのニーズに寄り添える、多様な罪の償いのあり方、事件後の被害者の回復に役立つ制度作りには何が必要か、みなさまの意見や感想をお寄せいただければ幸いです。

ここOceanがその想いを受け止め、制度作りに活かせる場所になれば、というのが原田正治の思いです。

Ocean-被害者と加害者の出会いを考える会-では、今の刑事司法に欠けている被害者と加害者の接点・対話=出会いはどうあるべきか考えるお手伝いをしたいと考えています。 ご相談いただければ、出来る限りお返事したいと思っています。お気軽に連絡先にお問い合わせください。

2004年12月10日世界人権宣言の採択を記念する国際人権デーで「人権のための殺人被害者遺族の会(MURDER VICTIMS' FAMILIES FOR HUMAN RIGHTS (MVFHR)」という国際非政府組織が米国で設立されました。

殺人事件の遺族はもちろん、テロの犠牲者、超法規的な殺害や失踪、死刑により家族を失った人などが集まり、それぞれの「人権」の尊重を訴えての事です。

このMVFHRのレニー・クッシングさん(父親を殺害された米国人)が、日本で弟を殺害された原田正治さんと出会ったことをきっかけに生まれたものがOcean(オーシャン)です。

Oceanという言葉の直訳は「海洋」です。 海からさまざまな生命が生みだされてきたことから、多様なアイディアが生まれることを期待して命名されました。 そしてこの会はMVFHRのアフィリエイト団体でもあります。


【Ocean主催イベント  死刑をめぐる対話 被害者家族と加害者家族】

2023年10月14日 大阪市で開かれた講演会。

オウム真理教 元教祖 松本智津夫こと麻原彰晃の三女 松本麗華氏。

半田保険金殺人で末弟を殺害された原田正治氏。

加害者家族と被害者家族という異なる立場にありながらも偏見や差別、孤独を強いられてきた二人。

― 事件に巻き込まれるのは ”罪” なのか ― 

「死刑」という一点で結びついた二人が思うのは、被害者家族像 加害者家族像を勝手に作り上げていないかということ。 

― 社会に充満する処罰感情は果たして”正義”なのか ―

二人の対話から、私たちには何が必要なのかを

一緒に考えてみませんか。

シリーズでお伝えする 対談動画part.1です。

ぜひご視聴ください。

※対談動画はすべて公開するものではありません※


「2023年10月14日講演会 死刑をめぐる対話より 」

「私は、父を愛している。」

麗華)私は12歳で(オウム事件に)巻き込まれているんで、12歳の時の、しかも普通のレベルの学力が無い状態で事件を認識してるので、父がどういう状態なのか、裁判ってなんなのか、何にも分からなかった。

だから父が(国家に)殺されるっていうことは思ってなかったんです。なので、父が亡くなったよっていうのはツイッターで麻原彰晃執行っていう速報っていうのが流れているのを見て知ったんですけど、もう腰抜かしたっていうか何が起こってるか分からない。

体が震えちゃってもうどうしていいか分かんなくて、父がいる世界しか分からなかったから、私が生まれてから父がずっといるから、父がいなくなったら世界はどうなっちゃうんだろうと思った。


本を書かせていただいたことはすごく今でも大きなことで、自分が生きのびてる大きな理由というか、気持ちの整理ができたこと、なかなか語れない事をまとめられたこと。

父とちゃんと話して、事件がなんだったのかとか、オウム真理教は何だったのかとか、私の人生どう思ってるのか、自分の人生どう思ってるのか、聞きたいことはいっぱいあってそういうことを書けたっていうことで非常に大きなものです。

書いた事で何が変わったかというと、求められる像を演じないでよくなった。前から父の事を好きだと公言できてたっていう風に思われるかもしれないんですけど、裁判の場とかで父が好きだとは言えなかった。

それは父がどういう扱いを受けてるか分かってるし、それを言ってしまうと自分がどういう扱いを受けるか分かってるから恐くて言えなかったんですね。それが今は私は、父が好きですよって普通に言えるようになっていろいろ考える余裕が出来たというか。


この間の新聞の取材を受けたんですけどもお蔵入りになって、そのときは二世問題とか加害者家族に対する取材だったんですけど、私が特に私が父を憎んでないという所になるとストーリーが上手く組み立てられない。

私にとって大切なのは、私は父を愛してるっていうことは変わりないし、二世信者とか被害意識を持ってないし、いろいろ与えもらって生きてきてると思ってるんだと話をした時に、これは記事になんないなという感じだったりしてですね。

やはりもとめられる松本麗華像と私自身の気持ちとには結構乖離があるのかなという風に思っています。加害者側の報道をしたら被害者側の感情どうなるんだっていう話で発表の場がほんとにない。存在を認めてすらもらえないのが加害者家族の現状かなと思います。


(社会から)ずっと批判されてきましたね。だした結論が、私はやってないから償う立場にも謝罪する立場にもないということを示していくっていうことが大切かなという風に思っています。


原田)加害者家族といっても被害者家族といっても、自分の犯した罪じゃない、親が犯した、息子が罪を犯した、兄弟が罪を犯した、これはふってわいたようなことですよね。加害者家族にとってもこれは考えてみれば被害者だよね。


麗華)今日一日と思って、一日一日頑張って生きるのが今の私にとって生きるということですね。


▼「私は父を愛している。」

そう語る松本麗華さん。

この言葉が受け入れられないのは、

社会の大半だと思います。

加害者家族となった麗華さんの数奇な

運命と人生に踏み込んで、

この言葉を考えてほしいと思います。

娘として事件と向き合った著書

「止まった時計 麻原彰晃の三女アーチャリーの手記」 

これまで歩んできた

「オウム」「父」「わたし」の

すべてが明かされていますので、

ぜひお読みください。


Youtubeにて原田正治の動画を公開しています。

 「Fドキュメント」

「Ocean 被害者と加害者との出会いを考える会」


【Ocean設立の思い】

残念ながら私たちの社会は痛ましい事件が絶えません。

事件の数だけ被害者と加害者がいます、被害者の方々や遺族の方々の明日をおもんばかると「被」と「加」の相反関係だけでなく新たな基軸を思考することが必要だとOceanは考えるのです。

また犯罪被害者等基本法のさらなる充実や多様な支援も考えなければいけません。

一方、加害者側の償い方の多様性や真の償いには何が必要なのかも考えて行きたいのです。

これらなど専門家の意見を聞きながら、意見交換や講演会の開催などを行ない、犯罪被害者やその家族のみならず、加害者やその家族、そしてこの問題に関心のある人びとと共に考えて行きたいのです。


【Inter7】

被害・加害は現実に、誰にも突然、起こり得ることです。対立と分断を煽る風潮が強い昨今、犯罪で傷ついたあらゆる人々の支援と命が最も尊重される社会の構築を目指して、被害者・加害者双方の支援者が共に支援に取り組む団体 ”inter7” が誕生しました。

原田正治はOceanの共同代表として活動しています。